今回は、原発性アルドステロン症の局在診断(左右どちらの副腎に問題があるか)について説明しました。このお話の最初に登場した患者様のその後についてお話します。
まず外来にてラシックス立位2者負荷試験を実施して頂きました。時間のかかる検査ではありますので少し大変だったとの事です。この検査で原発性アルドステロン症の存在診断が確定しましたので、局在診断をつけるために、腹部CTを実施していただきました。
単純CTと造影剤を使用する造影CTにて右副腎に径4mmの腫瘍が発見され、造影剤を使用した所見(腫瘍の染まり具合)もアルドステロン産生副腎腺腫に合致しました。
さて、この腫瘍が本当にアルドステロンを過剰に産生・分泌していることを証明するために前回お話した副腎静脈サンプリングをお願いしました。結果は右副腎から過剰にアルドステロンが産生・分泌されている所見でしたので最終診断が確定しました。
ご本人と相談の上、全身麻酔のもとで腹腔鏡を用いた右副腎摘除術(右副腎を全部とってしまう)を実施。数日で退院されました。その後、血漿レニン活性は低下していたものが正常化し、また上昇していたアルドステロン濃度も正常化しました。肝腎の血圧は120/70と全く正常化し、降圧剤も不要となりました。
大変喜んでいただいています。
この患者さんの様に、高血圧の指摘をうけ早い時期に受診され、適切な治療をうけた場合には、手術後に血圧が正常化する期待がもてます。しかし何年にもわたって放置された場合には心・腎・血管合併症がつよく、術後に血圧が正常化しない場合も経験されます。
初めて血圧が高くなったら、必ず1回は原発性アルドステロン症を念頭においた診察をうけて頂きたいと思います。