前回は、原発性アルドステロン症の存在診断について説明しました。今回は、
原発性アルドステロン症の局在診断について説明します。
(1)まず腹部CT検査を実施します。腹部CT検査の検出能力限界(3mmスライス程度)にて単純CTを実施後、さらに造影剤を静脈注射し、血管を含む各種臓器を浮き
立たせて観察します。一般に原発性アルドステロン症の原因として最も多いアルドステロン産生副腎腺腫は5~15mm前後で、造影剤により造影効果がほとんどありません。しかし、最近ではCT検査では検出できないくらい小さな微小腺腫(1~3mm)でも原発性アルドステロン症を引き起こす事が知られるようになりました。なお腹部エコー・MRI検査はCT検査ほどの情報がありません。
(2)微小腺腫を検出するためには、副腎静脈サンプリング検査を必要とします。
現在、特定の医療機関でのみ実施されています。この検査は入院のうえ、 採血カテ-テル非常に細い管)を体内の非常に細い副腎静脈にさしいれ、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を静脈注射しアルドステロンがどちらの副腎静脈でより上昇するかで局在診断をします。まだまだ大変な検査ですね。
今回もかなり難しい内容でした。次回は、このお話の最初に登場した患者様のその後について説明します。