数回前に糖尿病網膜症の説明を途中までしました。単純網膜症の説明をしたところで終わってしまいましたので、今回はその続きです。増殖前網膜症(ぞうしょくぜんもうまくしょう)とは、単純網膜症が進行・悪化した状態です。網膜の毛細血管が閉塞(つまる)してしまう病態を示します。
血管が閉塞すると、①網膜にある神経の栄養血管も閉塞するために神経が機能低下を起こしてしまい膨化(白く膨らんでくる)します。この状態を軟性白斑といいます。②血管が閉塞すると閉塞した部分と正常な部分との間に、IRMA(網膜内微小血管異常)とよばれるバイパスの様な血管が出現します。これは、普通に眼底をみたのではわからないこともあります。早期に血管の閉塞した状態を発見するために、蛍光眼底造影検査が必要となります。
これは、蛍光色素を肘の静脈より注射し、数分後にどの程度網膜の血管の状態が変化(閉塞やもれ)しているかを観察する検査です。注射後、何枚も眼底写真をます。最終的に眼科の先生が、どの部分に光凝固(レ-ザ-凝固治療)を実施するか決定します。この時期に、適切な光凝固治療と血糖コントロールが実施されれば、数年後にも視力(視機能といいます)が保たれるのです。時期を逃すと、増殖網膜症に進行します。
次回は、増殖網膜症の恐さについて説明します。