前回は、濾胞腺腫・濾胞癌にについて説明しました。今回は、乳頭癌(にゅうとうがん)について説明します。 総ての甲状腺癌のなかで、最も多い種類が乳頭癌です。施設により変動はありますが全甲状腺癌の95%を占めます。この乳頭癌は一般に非常に緩やかな経過をとります。また、ご高齢の方の30%に微小・潜在乳頭癌(他の病気で亡くなった患者さんを病理解剖させていただいた際に発見される癌)が認められます。進行が速い肺癌や乳癌とは異なる性質をもつ癌と考えられます。私は、癌もどきの癌と説明しています。 濾胞癌の診断と同様に、エコー検査とエコー下甲状腺細胞診が非常に有効です。これで殆どの方が診断されます。
乳頭癌の困った点は、20才前後の若い世代にも発症することです。私の外来で、昨年27名の患者さんが甲状腺乳頭癌の診断を受けましたが、うち20才代の方が2名おられます。若いから心配ないといえないことが非常に重要です。 乳頭癌は抗癌剤や放射線外照射治療の反応が乏しいタイプの癌です。1cm未満の場合にはエコー下細胞診を実施せず経過観察とする意見もあります。しかし患者さんとの相談の上で、検査や手術治療の選択をする必要があります。
次回は、その他の甲状腺癌について説明します。
(2017年3月9日)
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