前回は、腺腫様甲状腺腫について説明しました。今回は、濾胞腺腫(ろほうせんしゅ)について説明します。 甲状腺の中にある細胞を濾胞細胞(ろほうさいぼう)と呼びます。この濾胞細胞からでる良性の腫瘍を濾胞腺腫としています。球状の腫瘍で、エコーで見るとピンポン球のように見えます。ニワトリの卵の様な形をしている方もいます。そして、この腫瘍の周囲に正常な甲状腺との境界があり、この部分を被膜(ひまく)と呼びます。良性腫瘍ですので経過観察のみとなります。
問題は、この濾胞腺腫と非常に見分けにくいものに濾胞癌(ろほうがん)があります。エコーでも、細胞診検査(エコーを見ながら細い針を腫瘍の内部に刺しこみ腫瘍細胞を吸引して採取します)でも、現在の医学では完全に見分けることができません。採血検査で、甲状腺癌の腫瘍マーカーであるサイログロブリンを測定しても同様です。このような時には手術にて腫瘍を切除することをお勧めする場合があります。特に、腫瘍の大きさが4cmを超えるときには積極的に手術を勧めます。まだまだ正確な診断をするには医学の進歩を待つしかないようです。
次回は、日本の甲状腺癌の中で最も多い、甲状腺乳頭癌
(にゅうとうがん)について説明します。