会社検診などで、メタボリックシンドロ-ムと診断されたのちに受診される患者さんが 増えています。メタボリックシンドロ-ムとは2005年4月に日本肥満学会を含む各種学会が意見をあわせ発表した、新しい「危険な肥満」の考え方です。
これは内臓脂肪が過剰蓄積した方に(腹囲:お臍の高さで測定し、男性85cm以上・女性90cm以上)下記の、2つが当てはまれば診断は確定します・・・日本の基準は女性にやや甘いかもしれません。
1)高血圧症(130/80mmHg以上)、
2)高中性脂肪血症(空腹時採血にて150mg/dl以上)、
3)低HDLコレステロ-ル血症(40mg/dl以下)、
4)空腹時血糖上昇(110mg/dl以上)・・空腹時血糖の正常値は60~110ですが、外国は100mg/dl以上を高値としています。
20年前までは、脂肪細胞はエネルギーを貯蔵する倉庫の役割のみと考えられてきましたが 1990年以降の分子生物学の進歩により、約18種類の(今後はもっと沢山発見されるでしょう)様々な物質を体内へ分泌する、内分泌器官としての役割が注目されてきました。
そして血糖を下げる唯一のホルモンであるインスリンの働きを妨害して血糖値を上昇させる物質などが過剰にですぎたり(遊離脂肪酸など)、インスリンの作用をたすけ動脈硬化を遅らせる物質(アディポネクチン)が減少したりすることで、働き盛りの40~50才台の方に(特に男性)心筋梗塞や脳梗塞が、突然に発症するのです。
当院では、動脈硬化の様子を評価する検査機器(血圧脈波検査、頸部動脈エコー)を実施し、患者さんの病状を把握することに務めています。お腹の出てきた方で、検査をご希望の方はお申し出下さい。
・・自分の腹囲は正常だとおっしゃる方も多いのですが、この様な方でも隠れ内臓脂肪肥満と動脈硬化がみつかります・・