前回は、アルドステロンが引き起こす様々な病状について説明しました。
今回は、原発性アルドステロン症の診断方法について説明します。
アルドステロンが副腎から自律的に過剰分泌されている事を証明する必要があります。このために、腎臓の傍糸球体装置から分泌されるレニン(蛋白質です)が、アルドステロンの過剰分泌により分泌抑制状態にある事を確認してゆきます。
(1)まず、利尿剤の注射(フロセミドといいます)と立位負荷(2時間寝ない-坐位は可・食事と飲水は不可)を かける試験を実施します。これをフロセミド立位2者負荷試験とよびます。少々時間のかかる検査ですが外来でも実施可能です。この試験の前後でレニンを採血測定し上昇しない事を確認します。ほぼこの試験で、原発性アルドステロン症が存在する事が確認されます(存在診断)
(2)また、大半の原発性アルドステロン症の原因となるアルドステロン産生副腎腫瘍(腺種といいます)は、下垂体から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)に反応しますので(正常副腎から分泌されるアルドステロンはACTHに反応しません)ACTHを静脈注射して、アルドステロンを数回連続して採血する試験も併用されます。
(3)高血圧治療薬(カプトプリル)を1回内服し、内服前後で、レニンとアルドステロンを採血して変化を確認する検査も大切な検査の一つです。
今回は、存在診断についての内容でした。難解な用語が多く、患者様に理解していただくのは大変です。次回は、原発性アルドステロン症の局在診断(左右ある副腎のどちらに問題があるためにアルドステロンか過剰に分泌されているかを診断)についてお話しします。