前回は、原発性アルドステロン症の紹介をしました。
さて。1980年台まで、この病気は副腎より過剰に分泌されたアルドステロンが腎臓の遠位尿細管に作用するために水と塩分が身体の中に溜まりすぎてしまい高血圧症となってしまうと考えられてきました。
しかし、1990年台以降は分子生物学のすばらしい発展により、アルドステロンの尿細管以外への様々な作用が解明されてきました。
例えば、心臓の筋肉(心筋)に作用して心筋の肥大や繊維化(硬くなる)を引き起こし、最終的には心臓の収縮機能が障害され心不全を起こしやすい心臓に変えてしまいます。
また、血管(動脈)に対しては、血管の内皮(ないひ)の機能を障害し動脈硬化や血栓症を起こしやすくしてしまいます。このため、脳梗塞や心筋梗塞が発症しやすくなります。腎臓に対しては、尿細管以外にも作用し腎臓の機能を低下させ腎不全をひき起こしてしまいます。
今回は、アルドステロンの様々な全身への作用と、過剰に分泌された時におこる合併症について説明しました。
次回は、原発性アルドステロン症の診断と治療について説明します。 暫くこのシリーズが続きますがお付き合い下さい。