院長のつぶやき

日本の糖尿病事情について・・その④

前回は、糖尿病腎症の治療と寛解のお話を書きました。
今回は、糖尿病網膜症について書いてみます。

網膜とはなんでしょう。それは目玉(眼球)の一番底にあるカメラのフイルムにあたる部分です。最近はデジタルカメラの普及で、若い世代にはそれ何?といわれてしまいますが・・・

糖尿病のコントロールが悪い状態が数年(一般的には5年以上)持続すると、この網膜の血管(毛細血管)に血管のこぶ(血管瘤)ができたり一部が破れて出血したり、血液の中の蛋白質がもれてきます。患者さんご本人は、この時点では全く視力の異常は感じません。

しかし、この時点で発見し血糖コントロールを良くすれば網膜の異常(網膜症)は改善します。このため糖尿病患者さんを、内科担当医と眼科担当医の2名の医師が診察する必要があるのです。

成人になって以降に視力障害を発症し全盲に近い状態にいたる原因の第1位は緑内障(数年前までは糖尿病網膜症でした)です。第2位は糖尿病網膜症となっています。新しく受診される患者さんには視力の異常を訴えて眼科を初診し、重症の糖尿病網膜症と診断され、即日内科へ紹介となる方が減っていません。

糖尿病患者さんへの啓蒙活動が非常に必要な時期にきています。

(2016年12月21日)

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