院長のつぶやき

日本の糖尿病事情について・・その⑤

前回は、糖尿病網膜症の一般的な話について書きました。
今回は、もう少し詳しく説明してゆきます。

さて、どの程度の血糖コントロ-ルが持続すれば糖尿病網膜症が出現するのでしょうか。熊本大学の先生方の研究では、HBA1Cが6.5%以上が持続すると出現すると報告されています。これは糖尿病腎症とほぼ同じ内容です。また一般的には5年以上の糖尿病歴がないと出現しません。

糖尿病の状態(病期)には、どのようなものがあるのでしょうか。
糖尿病網膜症は、

→単純網膜症(たんじゅんもうまくしょう)
→増殖前網膜症(ぞうしょくぜんもうまくしょう)
→増殖網膜症(ぞうしょくもうまくしょう) の順に進行します。

まず、単純網膜症について説明します。単純網膜症の時期に眼底に認められる所見は、以下のものです。自覚症状はほぼありません。

・硬性白斑(こうせいはくはん)蛋白成分が網膜の中にしみだしてきます
・毛細血管瘤(もうさいけっかんりゅう) 小さなこぶが血管にできます
・点状出血(てんじょうしゅっけつ)血管がやぶれて小さな出血ができます

この時期に最も有効な治療は血圧のコントロ-ルと、血糖をより正常に近ずけてゆく血糖コントロールです。治療がうまくゆけば、眼底のいろいろな所見は改善し、全く正常な眼底に戻ることが可能です。

次回は、増殖前網膜症と増殖網膜症について書いてゆきます。

(2016年12月29日)

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