「インスリン」って聞いたことがありますか?インスリンは怖い薬?重症の糖尿病患者が使うもの?注射するの?採血みたいな感じ?痛い?
インスリンが発見されたのは1921年(大正10年) 当時の糖尿病は必ず死に至る「水を飲み続けながら痩せていく病気」として恐れられていたそうです。カナダの医師が膵臓の抽出液を糖尿病の犬に注射したところ一時的に血糖値を改善させることが出来ました。当時インスリンはミラクル(奇蹟の薬)といわれたそうです。
翌年、膵臓の抽出液はインスリンとして製剤化され糖尿病患者に投与されます。左が治療開始時、右がインスリン投与開始から2か月後です。やせて死を待つしかなかった少年がインスリンの注射によって劇的に改善されたのです。
私が糖尿病の病棟に配属されたころ、インスリンの自己注射といえば注射器(シリンジ)で、瓶(バイアル)から薬液を吸って注射をするという方法が主流でした。薬液を注射器に埋めるところから始めますから教える方もひと苦労です。
瓶の注入口を消毒して、注射器に空気を吸って瓶に空気を注入してから薬液を注射器に吸い出して… あー!注射器落とした!やり直し…( 一一)
インスリン注射の方法を覚えるために入院した人達で、食事前のナースステーションは戦場です。
ペン型の注射器は、お尻のピストンを押して2単位ずつ押し出すというタイプでした。
20単位を注射する人は10回押し…注射の途中で患者さんに声をかけると「看護師さんのせいで何回押したかわからなくなった!」 ごめんなさい(-_-;)
(ノボペンⅠ)
現在のインスリン注射は使い捨ての薬と注射器が一体化されたものが主流。注射方法も簡単で注射薬の種類も増えました。
インスリン注射を覚えるために入院する必要はなくなっています。
インスリンは注射薬です。これだけは発見されてから90年以上がたっても変わりません。自分でお腹などに注射をしますが、20年前に比べると針も劇的に細く短くなりました。
1番短いものは4mm。細さを表す単位は34G=直径0.18mmといいますから棘(とげ)より細い?痛みもずいぶん少ないようです。針を刺されるのが大嫌いな私が言うと説得力がない!と同僚にいつも笑われていますが…
注射器が簡単になり薬の種類も増えた事で、インスリンを使う治療方法も多様化しています。ひと昔前までは重症な人の治療というイメージが確かにありました。でも、今はちょっと使ってみようかな…という感覚で挑戦する人が増えています。もちろん病状によって治療方法は異なりますからすべての人が注射に向くというわけではありません。主治医と相談して治療方法を決めていきます。
インスリンの注射に興味があるけど先生に聞いたら「じゃあ注射しましょう」と言われるのが怖いと思っている方、処置室で聞いてみてください。
注射器と針を見てください。とっても簡単ってびっくりするかもしれません。
注射の方法も看護師が懇切丁寧に教えますよ (^◇^)
(ここらん)
次は自己血糖測定機のお話しをします。