急に寒くなったり暑くなったり気温の変化が著しい今日この頃ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。暑かった夏も終わり、お散歩、ウォーキングなど、体を動かすにはもってこいの季節になってきました。外にお出かけになる際は、朝晩冷え込んでいますので上着を羽織るなど、体調管理は気を付けてくださいね。とはいえ、無理は禁物ですので、ご自身の体調とよく相談してから出かけるようにしてください。
前回、前々回とインスリン、血糖測定のお話しをしてきました。(まだご覧になってない方は是非ご覧ください)少しずつでも糖尿病に関心を持っていただけたら幸いです。
さて今回は、糖尿病を診断するうえで欠かせない検査「75g経口ブドウ糖負荷試験」をご紹介します。この検査は、まだ糖尿病と診断されていない方に行う検査で、いつも血糖値がちょっと高め(空腹時で100mg/dl~110mg/dl程度)という方から、健康診断で血糖値が高いと言われた方や、妊娠中に高血糖を指摘されたという方など、年齢・性別問わず行われます。気になる方は医師に相談してみてください。検査が必要であると診断された方は、結果を恐れずまずは検査を受けましょう!
「75g経口ブドウ糖負荷試験」
検査当日3日前頃から普段通りの食事(暴飲暴食、炭水化物抜きダイエットなどは正確な値がでないことがあります)を摂り、検査前日は夕食を21時までに済ませていただきます。当日は、水分(水のみ可)以外は飲食せずに病院にいらしていただき、決められた時間に採尿、採血を実施します。(朝食後の内服薬は検査終了後の内服となります)病院で、炭酸入りのブドウ糖を溶かした水(下写真)を飲んでいただき、30分おきに採血を行っていきます。検査は2時間程度かかります。当日は禁煙です。
ブドウ糖を溶かした水
この検査で、空腹時の血糖値、ブドウ糖水を飲んだ後どのくらい血糖値が高くなっているのか、すい臓からインスリンがどのくらい出ているのかがわかり、現在糖尿病になっている(糖尿病型)なのか、糖尿病予備軍(境界型)なのか、正常型なのかが判明します。
この検査で糖尿病型、境界型の結果が出てしまっても、落ち込んだり、慌てたりする必要はありません。「色々な合併症が出る前にわかって良かった」と捉えていただければと思います。すぐにインスリンの注射になるのでは?とお思いの方がいらっしゃるかもしれませんが、2型糖尿病(一般的に私たちのお話する糖尿病)では、まず食事や運動などできることからの改善になりますので安心してください。
しかしだからと言って放置してはいけません。
糖尿病は初期のうちはほとんど症状がありません。しかし、“ちょっと高め”の時期から動脈硬化はどんどん進行すると言われていて、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高くなると言われています。さらに糖尿病を放置していると、糖尿病性腎症(悪化すると透析)、網膜症(悪化すると失明の恐れ)など様々な合併症が現れると言われています。
「検査で境界型って言われたけど、よくわからないし、糖尿病って言われたわけじゃないから…」ではせっかく検査した意味がなくなってしまいます。境界型は、血糖値を下げる対策を全く講じなかった場合、糖尿病が目前に迫っている危機的状況と考えてください。
また最近、糖尿病をきちんと治療しないと認知症や、がんのリスクまで健康な人の数倍高くなることがわかってきました。そのためこの検査で糖尿病型や境界型を早期に発見し、定期的な受診を続けていただくことで、血糖値を正常に戻したり、それ以上糖尿病を悪化させずに合併症を予防し、健康寿命(健康な人と同じ生活ができる)を延ばすことができるのです。
糖尿病の早期診断の大切さ、この検査の重要性をわかっていただけましたでしょうか。私は個人的には、がん検診に匹敵するくらい大事な検査だと思っています。
繰り返しになりますが、もし糖尿病型、境界型と診断されてしまったら、定期的に受診をすることが大切です。忙しい、金銭的に厳しいなど、受診できない理由は皆さんそれぞれお持ちだと思います。ですが、先にもお話ししたように、放置して悪化してからでは遅いのです。院長を始め、看護師、栄養士が、お一人お一人に合わせた対策を皆さんと一緒に考えていきます。今後のこと、10年先20年先の健康のことを私たちと一緒に考え、今できることを少しずつ始めていきましょう!(当院にはピチピチの若いスタッフはいませんが、心優しいスタッフが笑顔で対応させていただきます)
検診で血糖値を指摘されそのままになってしまっている方、以前糖尿病と言われたけど、薬も飲んでいなかったし、何も言われていなかったからと受診をしていない方、ぜひ当院にお越しください。スタッフ一丸となって皆さんのお力になりたいと考えております。お待ちしていまーす。
ウォーキングを頑張っている「ぽちゃ」でした